リサイクルショップ

人狼の話です

【ネタバレ感想】疑念渦巻く大規模マダミス『前略、愛しの君へ』

マダミスはいいぞ~~~~~~!!!!!!!

 

はい

 

2月24日にマーダーミステリー『前略、愛しの君へ』に参加してきました。めちゃくちゃ面白かったので備忘録がてらに感想を書いていこうと思います

 

※この記事はマーダーミステリー『前略、愛しの君へ』の感想・ネタバレを含みます。マーダーミステリーはゲームの性質上、シナリオ内容を知ってしまうと今後プレイすることができません。当該シナリオ未プレイの方は以後の閲覧非推奨ですので、おとなしくページを閉じてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『前略、愛しの君へ』について

booth.pm

私はまだ数回しかマダミスを遊んだことがありません

しかしその面白さにすっかり魅了されてしまい、日々「マダミス遊びたいオーラ」を発しながら暮らしていたところ『前略、愛しの君へ』という15人規模の大規模マダミスにお誘いいただいたのが参加のきっかけです

 

このシナリオは参加者15名、プレイ時間5~6時間という非常に大規模なものです
通常多くても10人程度(とWikipediaで読みました)とのことなのでその異常さがわかりますね。要するに情報量めちゃヤバってことです

さらにボイスチャットを介してプレイする場合、顔の見えない15人が一堂に会して話し始めるとカオスが誕生することは確定的に明らかです

これは「カオス」で検索して出てきた「ベトナム スエンティエン公園の巨大竜」のフリー素材

なので、基本的には3人~最大8人に分かれた個別会議を繰り返して情報を整理し、犯人を探し出していく……という形式になっていますが、裏を返せば全体で情報共有できるタイミングがほぼないということ

口頭でしかやり取りできない情報も多く、「情報をすりあわせること」が非常に難しいつくりになっているのがポイントといえるでしょう

 

この感想を書いているのはプレイした翌日なのですが、実のところ事件の全容はまだ把握しきれていません
そのため、あくまで私がプレイした代議士というキャラクター視点での感想になること、また記憶違いなどで脚色が含まれる場合がありますがご容赦ください

 

自PC:代議士(40代男性)

先生と呼びなさい

 

 

情報量に圧倒される前半戦

強者感あふれるキャラ紹介

みんな役作り凝ってるなあ。すでに没入感が高まってきた

 

参加者はGM含め16名の大所帯でしたが、キャラクター紹介の段階での役への入り込み方がすごかった

ベスト自己紹介賞を受賞された夫人さんの自己紹介の様子

<ワタシの名前はアケチチャオチュールクロワッサンターヘルアナトミアクロックタワースリーと申しマス。長いのでちくたくと呼んでくだサイ

え……?

何て?

あの速度で噛まずに言えるのは凄い

 

ちなみに私は聞き取れませんでした(殺さないで)

 

 

開始10分でボロを出す

それでは調査フェイズスタートです!3名ずつに分かれて会議を行ってください

(最初は公爵、夫人と一緒か。正直この二人と話すことはあまりないんだよな)

代議士どのはどなたから招待状を?

よく覚えておらんが……子爵どのからだったと思う(スッ)

あれ?今何か……ってなんでいきなり自分の物証漁ってるんですか?

いやあそのぉ……大事なものがあって(『議員バッジ』じゃなくて『大きな宝石』引きたかったなあ)
※代議士の個人目標の一つは百目鬼の涙』『大きな宝石(贋作)』をすり替えること。そのため初動で百目鬼の腕』が飾られている食堂に加え、『大きな宝石』を持っている代議士(自分)をサイレント調査した

 

……見せられますよね?

え?

隠し事がないなら見せられますよね?

ひゃ、ひゃい……(まぁ議員バッジならいいか)

えーっとコレは……あなたホントに代議士ですか??

(見抜かれた!?まさか公爵も「審美眼」持ちだったか!かくなる上は!)
※スキル「審美眼」持ちが鑑定するとこのバッジが偽物であるとわかる。偽物の議員バッジをつけているということは……

 

いやぁそのね!政治家にはイロイロあるんだよ!イロイロね!

いやだからあなた代議士じゃ……

ハーッハハハハハハハハ!

……

(よし!乗り切った!)

 

※乗り切れませんでした(前半フェイズで公爵から投票される)

あれぇ~~~~???

何もごまかせてないでしょアレじゃ

 

 

あの女狐ェ~~~~!!!

※小会議終盤

そういえば最近巷をにぎわせている「連続殺人犯X」のことは聞いているかね?あれが今回の事件の犯人だと思っているのだが

聞いたことがあります。詳しくは知りませんが

あ、あれ?ワタシ、Xって旦那様の愛人のことかと思っていマシタ
※夫人は子爵(今回の被害者)の配偶者

ど、どういうこどだね?

以前から旦那様がお手紙のやり取りをしていた方の差出人にXと書いてありマシテ……あの喜びようは間違いなく女デス!

ワタシ、今回の社交パーティは旦那様がその愛人と密会する口実のために開いたと思っていマス。そういえばパーティの時、あの演奏家の方と旦那様がすごく親しげに歩いてらっしゃいマシタよネ?

きっとそうに違いありマセン……あの演奏家がXデス!許せない許せない許せない許せないあの女狐ェ~~~~~~~!!!!!

こうしてはいられマセン!あの女狐と話つけてきマスネ!(演奏家のいる部屋へ移動)

ぽかーん

 

この時はただただマシンガントークに圧倒されていましたが、これが後々の伏線だったとは……

 

 

情報が……多い!

その後中会議、大会議を経てそれぞれの情報のすり合わせが進みますが、あまりの情報の多さに溺れてしまいます

もうマヂ無理。。。煌探そ。。。

 

※そのネタさすがに古すぎない?

 

黙れ。とりあえず重要な証言をまとめてみよう

 

医師の検死によれば、凶器はナイフで遺体にはXの切り傷。件の連続殺人犯Xの犯行と推測されるが、模倣犯の可能性もあるな

凶器のナイフは武器庫から2300~2350の間持ち出されていた。給仕奇術師がそれぞれ確認している(なぜ奇術師は武器庫になんて忍び込んでいたんだ?)

これも医師からの情報だが、いずれも足腰が悪く、殺害現場へ向かうのが困難であることから公爵及び陸軍将校は犯人ではない可能性が高い

文豪の証言によると、殺害現場へ行くにはぬかるんだ道を通る必要がある。その観点から靴が汚れていない夫人、代議士、令嬢、演奏家は犯人じゃない

現場にはタバコの吸い殻が落ちていた。この中で喫煙者は子爵、公爵、代議士、演奏家、文豪5名。ただし警察官が言うには、食堂の灰皿には6銘柄の吸い殻があった。つまり犯人は自分が喫煙者であると隠している人物?

 

 

こんな感じだな。ここから絞り込めるのは……

絞り込めるのは……

……

 

これ全然絞れてなくね?

 

投票フェイズ中ずっと「わがんね~~~~~」と呻くだけの機械になっていました

 

 

「煌」の危機

うーん。とりあえずアリバイのない文豪と夜に出歩いてたらしい商人に投票するかなぁ……

 

←疑いを集めている二人

 

アレ?でも商人って食堂の物証初手で集めてるな。ほかにも展示室漁ってるし……まさか「煌」か!?

 

代議士の正体は怪盗「煌」を信奉する贋作製作者であり、最大の目標は同じく社交界に忍び込んでいる「煌」が『百目鬼の涙』を持ったまま無事脱出すること

「煌」が犯人として拘束されてしまうと「無事脱出する」という目標が達成できなくなってしまいます

ちなみに代議士は奇術師のパトロンとして招待されたことになっています。そのため奇術師が「煌」本人である可能性もありましたが、彼は目標の鎮座する「食堂」を調査していませんでした

他方で商人は食堂や展示室、物置など……『百目鬼の腕』のほかに高価な物品がありそうなところを優先して調査しています

 

つまり、商人=「煌」が濃厚

 

マズイマズイマズイ!商人めちゃくちゃ疑われてるじゃん!と、とりあえず後半戦では商人怪しくない!商人犯人チガウ!って言い続けよう!根拠ないけど!

それはそれとして投票は……うーん、文豪料理人でいいか

 

こうして前半戦が終了。犯人はさっぱり分からないし、「煌」と思しき商人は文豪に次いで票を集めてしまう

百目鬼の腕』は手元にあるが、最後に渡せないと意味がない。
※代議士は最後のアクションフェイズ以外他人にカードを渡せない

 

これは詰んだか……?

 

 

混迷が加速する後半戦

代議士はハッキリ言ってこの闘いにはついて行けない

商人悪い人ない!商人トモダチ!文豪アヤシイ!

むう……だが商人はともかく、文豪は自分に投票しているな?

え?あ……

文豪は他人の疑いを晴らす情報公開もしているし、彼は犯人じゃないのでは?

だがほかはアリバイがある中、文豪だけが犯行時刻にアリバイがないのも確か。なんとも決め手に欠けるな……

 

(話についていけない)

 

みんなすげーってなってました。このあたりで犯人捜しを完全にあきらめて「煌」のサポートだけを真剣に考え始めたのだが……

 

 

【悲報】(推定)「煌」、狂う

この事件はタダの殺人事件なんかじゃないにゃ!妖怪が紛れ込んでるんだにゃ!

この人だけ別のゲームやってない?そんなわけないじゃん

こちとら本気で言ってるんだにゃ!現に鬼、天狗、妖狐、河童が……

そうだよな~~

はいはい(与太話に付き合ってないで何とかして商人を助けないと。適当なアリバイでっちあげるか、最悪ワシが犯人ってことにするか……?)

 

 

 

俺も「妖気」感じてるんだよね

は?

 

 

 

 

マジで変な声が出た。この時の心の叫びがこちら↓

 

 

ああ……アンタも「コッチ側」ってことにゃ?お互い大変だにゃ

そちらこそ。とりあえず、陸軍将校演奏家から妖気が感じられるし、こいつらは犯人か妖怪のいずれかだろうな

ナイスにゃ!そして演奏家の部屋からは金色の毛……これは妖狐に違いないにゃ!

 

??????????????????????????????

 

知らない話がどんどん盛り上がってて怖かった。誰か助けて

 

 

それと、ここで序盤のやり取りを思い出してほしい

きっとそうに違いありマセン……あの演奏家がXデス!許せない許せない許せない許せないあの女狐ェ~~~~~~~!!!!!

 

「女狐」

 

そう。夫人さんは初手ノーヒントで演奏家=妖狐を言い当てていたのである(たぶん夫人本人が一番ビックリしていた)

ワタシまた何かやっちゃいマシタ???

視野外からとんでもない不意打ちを食らった

理解できないはずの話が妙にすんなり頭に入ってしまった

 

 

「煌」の行方

※議論中盤

(あ、頭がおかしくなりそうだ……だが商人が「煌」じゃないならばむしろ好都合!すり替えも完了したしあとは本物の「煌」を見つけるだけ!)

ところでさ~代議士さん。アンタの持ってる『百目鬼の腕』オレにくれないか?

(な、なに!?『百目鬼の腕』を欲するということはやはり商人が「煌」なのか!?い、いやしかし「煌」が怪盗かつ退魔師だったら一人だけ情報量モンスターすぎるし違う……と思いたいが……)

その……あなたが欲しているのは百目鬼の腕』そのものですか?本当に『腕』そのもの

?そうだけど?

……残念ですが、これでも美術品には目がなくて。お渡しすることはできませんな

(「煌」であるならば回答を濁すはず。本当の目標は『腕』そのものではなく『百目鬼の涙』なのだから)

た、頼むよ~

(つまり商人は「煌」ではない。ならば……)

 

本当に、残念です(「煌」は奇術師だ

 

 

少し長めのエンディング

※最終盤

(手持ちの物証をよく見ると奇術師は★マークのついた高価そうな品物を集めているな。これはおそらく怪盗としての個人目標だろう。食堂は協力者の私がチェックしていたので不要と判断したか)

(こちらも目的のブツが手に入ったことを示しておこう。『百目鬼の腕』をオープンにして……)

代議士クン。ボクに『百目鬼の腕』を渡してくれたまえ

(よし!動いた!)いや~残念ながら渡せないねえ。帰るまで持たせてくれよ

ノンノンノン。手元を見たまえよ。もう「貰っている」さ

※奇術師の「すり替え」スキルで『百目鬼の腕』と別の物証を交換

こりゃ一本取られたな!ガッハッハッハ!(最後に宝石渡してビックリさせたろ)

 

最終盤は代議士目線では少し長めのエンディングのような感じ。奇術師も代議士も犯人として疑われていない以上、もはや最大の目標は達成したも同然です

 

後は犯人を拘束して完全勝利と行きたいところだが……

 

私たち、付き合ってるんです!犯行が行われた時間は一緒にいました!

 

海軍将校君は極度の高所恐怖症のようだねえ

いやー……お恥ずかしい。あまり言いふらしたくはないのですが、おかげで展望台に近づくことすらできませんよ

 

私の持っている仮面をよく調べると鬼の仮面です(要『審美眼』)

 

最終盤でどんどん新しい情報出てくるのめっちゃ怖くね?

 

※怖いです

 

 

※最終推理フェイズ

やはりその時刻全くアリバイがない……文豪だけが。犯人は文豪だ!

いや……文豪からは妖気を感じない。逆に陸軍将校、アンタは妖怪でもないのに強い妖気を発している……犯人はアンタだ

む、むぅ……私個人は文豪だと思うが、どちらの発言も一理あるな……

 

(うーん……どっちも怪しいけれど文豪が自分投票してたのがやっぱり引っかかるな。陸軍将校に投票しておくか)

(お前も「コッチ側」に来れたんだな。うれしいぜ)

(コイツ直接脳内に……)

 

※そんな能力はありません

 

 

エンディング、そして……

ん?私が犯人だって?ああそうとも!私が犯人だよ!

 

最多票を集め、犯人として拘束されたのは文豪。本人も自供しているようだが、どうもその態度に薄気味悪いものを覚える参加者たち

エンディングでは様々な真実が明らかになってゆく

事件の真犯人をはじめとして、婚活、過去の清算、宿命と宿願……しかしそれらすべては代議士……いや、「煌」の相棒となった彼にはもう関係がない

 

 

 

 

ゴムボートで脱出ってエモいっすよね

わかる

 

 

 

~希望の未来へレディー、ゴー!エンド~

 

 

 

 

 

感想戦にて

ところで、代議士クンが商人に出した質問だけどさ

はい

あれボクでも『腕』そのものって答えると思う……

「」

 

※普通に恥ずかしかった

 

 

 

ちなみに商人は霊媒師によって封印され岩になりました

えっ

いいザマにゃ!

妾は逃げおおせたぞよ

こいつら野放しだと全員廃人エンドがあり得たので霊媒師はマジでえらいと思う

 

※爆発オチなんてサイテー!

 

 

感想

というわけで、私(代議士)視点のマーダーミステリー「前略、愛しの君へ」をまとめてみました

数回やったばかりで大人数に飛び込むなんて今でもどうかしてるとは思いますが……正直めちゃくちゃ面白かった!

確かに情報量におぼれてしまった部分はありましたが逆にそれがいいというか、「は????何その話?????」みたいなのがいっぱい聞けるのを面白く感じてもいました。

公爵の婚活劇とか……海軍将校と陸軍将校、警察官の因縁とか……子爵の真実とか……追い切れてない話がたくさんあったし、それがどれも抜群に面白かったです。

記憶を消してもう一回プレイしたい……できないのがつらい……

 

 

 

 

 

ああ……

楽しかった………

 

 

 

 

 

(おわり)

 

GMを務めていただいたmiwaさん、こんな大人数のマダミス回すのめちゃくちゃ大変だったと思いますが、サイコーに楽しめました!ありがとうございました。

※誘っていただいた今日はさん、ならびに同卓いただいた皆さんも本当にありがとうございます。とても楽しくゲームができました!

8年間ノーメンテのノートパソコンを分解清掃した話【HP ENVY dv6-7200】

  • 連休なので家の掃除をしていたら8年ほど前に購入したノートパソコンが出てきました。
  • 準備したもの
  • 大体のモンスターは裏側が弱点
  • これダメなやつでは?
  • その先へ
  • ファンを掃除するのになぜここまでしなければならないのか理解できない
  • 8年モノの埃はまるでクッション材のよう
  • おわりに

連休なので家の掃除をしていたら8年ほど前に購入したノートパソコンが出てきました。

開いたとき閉じたとき
結構大きいし重い。当時の購入価格は10万円弱。

出てきました。
持ち運びもできてGPU*1も積んでるからゲームもできる!最強じゃね?って理由で購入したパソコンです。
実際のところ運ぶには重たいし処理能力も(3Dゲーム用途には)中途半端だしでほろ苦い思いをした記憶があります。*2
もうちょっと思慮深く生きていて欲しかった、8年前の私。

詳細については↓のレビュー記事をご覧ください。HP社の製品ページは残っていませんでした(後継機種のしかない)。
blog.lowprice-pc.com
それでもメイン機としてしばらく頑張っていましたが、数年前にパソコンを買い替えて以来お役御免に。
捨てるのも面倒だったので物置にしまいこみ、すっかり存在を忘れていました。

試しに起動してみるとファンが爆音で唸りはじめ、CPU温度はすぐに80℃を突破。
この季節にぴったり*3湯たんぽ機能がいつの間にか搭載されていたようです。
多分内部に相当埃が溜まっています。
近くにいるだけで暑いよ

このまま処分しても良かったのですが、せっかくなので分解清掃してみることにしました。

*1:Graphics Processing Unitの略で、3Dグラフィックなどの処理を得意とするパーツらしい。詳しいことは知りませんが載ってるパソコンは"強い"

*2:価格との性能比ではそんなに悪くなかったかなと思います(当時基準)。ただしノートパソコンなので色々と限界があった。私はSkyrimをやりたかったんだ。

*3:今日の最高気温は33℃でした。暑くて死にそう。

続きを読む

「利敵行為」って何?②

前回はこちら
「利敵行為」って何?① - リサイクルショップ

利敵行為の分類

 さて、前回の記事では、辞書的な意味での利敵行為をそのまま禁止することは、人狼ゲームでは難しいという結論に至りました。
 しかし、たとえば「人狼が誰が人狼であるか公表する行為」であったり「本物の占い師が偽の結果をゲーム終了まで撤回しない行為」はできれば禁止したいものです。
 まず最初に思いつくのは「ある特定の行為を禁止する」というものです。前の段落で挙げた例は基本的にどんな状況でも自陣営の不利益につながるよう思えますから、そのまま禁止して良いように思えます。
 ここで一旦ルールを取り出しておきましょう。

  • 前後の状況によらず自身または自陣営の不利益になることが明らかな行為については、これを禁止する。

 しかし、それだけでは前後の状況によってその是非が異なる行動についてはカバーできないように思います。前の記事で挙げた例から「状況」と呼べそうなもの;Aさんの「推測」と「意図」、そして「結果」を取り除いてみましょう。

(0)
 狂人のAさんは占い師を騙り、Bさんが人狼であると告発した。

 前回結論づけたように、その行為がもたらした結果からそれが利敵行為であるかどうか判断することは、結果論的にしか行えません。また、仮にこの行為が自陣営の敗北を誘起したとしても、Aさんはそれを意図していたわけでも、そうなるだろうと思っていたわけでもありません。
 では、この行為はどのような状況においても禁止しなくてよいのでしょうか。ここで、以下の3つの例について考えてみます。

(5)
 狂人のAさんは占い師を騙り、Bさんが人狼だろうと思いながら、人狼陣営を敗北させることを目的として人狼であると告発した。

(6)
 狂人のAさんは占い師を騙り、Bさんが人狼だろうと思いながら、その行為の結果人狼陣営が敗北するだろうと推測しつつも、そうなってもいいと考えて人狼であると告発した。

(7)
 狂人のAさんは占い師を騙り、Bさんが人狼だろうと思いながら、その行為の結果人狼陣営が敗北するかもしれないと推測しつつも、そうならないだろうと考えて人狼であると告発した。

 これらは(0)に特定の状況(Aさんの意図または推測)を付け加えたものです*1
 さて、直感的には、その結果によらず(5)を禁止しなくてはならないように思えますし、(6)もできれば禁止したい行為のような気がします。(7)もやってほしくはありませんが、禁止するべきか(できるか)は悩ましいです。

確定的故意を伴う利敵行為
 (5)が問題となるのは「自陣営を敗北させる」という明確な意図がAさんの行為に付随しているからです*2。勝敗度外視で遊んでいるのでない限り、基本的に参加者は勝利を目的として行動する前提でなければゲームは成立しません。
 ゲームの成立に関わる部分ですから、ここからルールを取り出しても問題なさそうです。

  • 自身または自陣営に不利益を与える意図を伴う行為については、これを禁止する

 これを便宜的に確定的故意を伴う利敵行為と呼ぶことにします。

未必的故意を伴う利敵行為
 (6)の場合、Aさんは積極的に人狼陣営の不利益を意図したわけではなく、しかしそうなるだろうし、そうなってもいいと思って人狼候補の告発に踏み切っています。便宜的にこの心理状態を結果の認容と呼び、それを伴う利敵行為を未必的故意を伴う利敵行為と呼ぶことにします。
 (6)は禁止した方がいい行為ですが、なんだか(5)と同列に扱うのはへんな気もします。しかし、単に「禁止する」以上のものを設定できないのであれば仕方ありません。
 (5)と(6)をわざわざ分けた理由は「禁止」「許可」の二種類しか裁定を下せない場合、「意図」と「結果の認容」は区別できないことを示すためです。量刑を設定できるならば、(5)の方をより重い処罰にすべきだろうと思います。
 今回は二種類しか裁定できないものとしてルールを設定することにしますので、以下のように取り出します。

  • 自身または自陣営に不利益を与えることを推測しつつ、その結果の認容を伴う行為については、これを禁止する

過失
 (7)および(2)(4)は「自陣営に不利益を与えること」を意図したり、それを認容しているわけではありません。(6)と(7)の間にあるのは故意と過失の壁と呼ぶべきものです。
 過失とは「そうならないだろうと考えたが、そうなってしまった行為」あるいは「そうなる可能性をそもそも認識していなかったが、そうなってしまった行為」のことを指します。いずれにせよ「○○を禁止する」という強制力に乏しいローカルルールを想定している以上、行為者が自陣営の不利益になると推測していない、または認識していない行為を禁止するのは不可能であると思われます。
 ただし、重大な過失を行わないよう参加者がそれぞれ注意する必要はあるかなと思います。重大な過失とは、不利益をもたらすだろうと予想したり、またその可能性を認識するのが極めて容易な行為のことです。「極めて容易」のラインは人によって変わる気もしますが、とりあえずは初参加でもわかる程度を想定するのがいいのかなと思います。

まとめ

 長くなりましたが、利敵行為についてのこれまでの話をまとめると以下のようになります;

  • ある特定の行為が利敵行為であるとは、人狼ゲームの性質上、進行中に確定的な判断を下すことが難しい。
  • その前後の状況に関わらず自身または自陣営の不利益になることが明らかな行為については、その行為そのものが禁止される。
  • その前後の状況によって自身または自陣営の不利益になることが明らかでない行為については、行為者がその結果を意図して、または認容して行われる場合には禁止される。
  • その前後の状況によって自身または自陣営の不利益になることが明らかでない行為については、行為者がそうならないだろうと考えた、またはそうなる可能性を認識していない場合は禁止されない。
  • ただし、自身または自陣営の不利益になるだろうと推測すること、またはその可能性を認識することが極めて容易な行為については、これを行わないことが推奨される。

 なんだか例のごとく「それ当たり前じゃない?」ってことしか書きませんでしたが、とりあえずはこれを「利敵行為って何?」って話の着地点にしようと思います。

*1:注意して欲しいのは、(1)〜(4)のときAさんは「その行為の結果人狼陣営が不利になるかもしれないと推測」していないという点です。

*2:意図を持つことそのものが問題という意味ではありません。

「利敵行為」って何?①

よくわかんないです。

 一応人狼のことを書くつもりで作ったブログなので、人狼ゲームの領域で話をすることにします。なお、私は長期G編成を一番多くやっているので、基本的に「人狼ゲーム」という表現を用いる際はそれを指していると断っておきます。

辞書的な意味での利敵行為

 利敵行為とは読んで字のごとく「敵に利益をもたらす行為」なのですが、それをそのまま人狼に適用した場合について整理してみます。
 次のような例を考えてみましょう。

 (1)
 狂人のAさんは、占い師を騙って村人が人狼であると告発することで人狼陣営を有利にしようとした。そこで、その時点で村人だろうと推測していたBさんを人狼だと告発した。
 Bさんは人狼だった。結果人狼は敗北した。

 この例の中で、Aさんは明確に利敵行為を行なっています。それを意図していないものの、AさんがBさんを狼であると告発した行為は、Aさんの所属する人狼陣営の敵、村人陣営の利益となっているからです。
 では次の例ではどうでしょうか。

 (2)
 狂人のAさんは占い師を騙り、本当の判定を出すことで村人たちからの信用を獲得し、人狼陣営を有利にしようとした。そこで、その時点で人狼だろうと推測していたBさんを人狼だと告発した。
 Bさんは人狼で、Aさんは信用獲得に成功した。結果人狼は勝利した。

 2番目の例の中でも、Aさんは最初と同じように人狼のBさんを人狼であると告発しています。しかし、Aさんの行為はこの例の中で人狼陣営の利益になっているため、利敵行為と見なすことはできないように思えます。
 さらに二つの例を考えてみましょう。

 (3)
  狂人のAさんは、占い師を騙って村人が人狼であると告発することで人狼陣営を有利にしようとした。そこで、その時点で村人だろうと推測していたBさんを人狼だと告発した。
 Bさんは実は人狼だった。しかし、Aさんは信用を獲得し、結果人狼は勝利した。

 (4)
  狂人のAさんは占い師を騙り、本当の判定を出すことで村人たちからの信用を獲得し、人狼陣営を有利にしようとした。そこで、その時点で人狼だろうと推測していたBさんを人狼だと告発した。
 Bさんは人狼だった。しかし信用は得られず、結果人狼は敗北した。

 (3)では、Aさんはそれを意図したわけではありませんが、人狼人狼であると告発した行為は結果的に人狼陣営の利益に繋がっているため、利敵行為とはみなせません。他方で、(4)はその行為が村人陣営に利益をもたらしているため、利敵行為であるということができます。
 今回は単純化するため「自陣営の勝利/敗北にどう繋がったか」という観点で整理しましたが、これは時間的スケールをもう少し短くして「その行為が自陣営の一時的な優勢/劣勢にどう繋がったか」というふうに整理しても同じことが言えると思います。その場合、例えば(3)のケースでは、AさんがBさんを人狼であると告発した時点ではAさんの行為は利敵行為であるとみなせますが、人狼陣営が勝利した時点では、それは利敵行為とみなすことができません。
 これらの事例から以下のようなことが言えると思います。

  • ある行為が利敵行為であるためには、それが自陣営の不利益に貢献している必要がある。
  • ある行為が自陣営の不利益に貢献しているかどうかは、どの時点でその行為を評価するかによって変わる。

 ところで、人狼では突然死がタブーとみなされていますが、ある特定の場面では突然死が自陣営に利益をもたらす場合があります。たとえば客観的に人狼の可能性がある人物(以下「灰」)が二人しかおらず、処刑が一度しか行えない盤面の時、灰の村人が突然死し、残りの灰を処刑すれば、村人陣営は確実に勝利できます。
 しかしその行為を行ってはいけないとされるのは、突然死が「参加者が、やむを得ない事情によってゲームへの継続的な参加が不可能になった際、襲撃や処刑に依らずゲームから取り除くため」に設定されたシステム的な処置でしかないからです。そもそも全ての参加者にとって「ゲームへの継続的な参加が不可能」になる事態そのものがあってはならないこと(特に長期では「毎日一定の時間が取れること」を参加する前に確認されますよね)だというのは、利敵行為について触れる際に確認しておく必要があるかなと思います。
 人狼は突然死がないことを前提にしてるんですよ。本来は。

 話が逸れましたが、ある特定の行為が利敵行為であるかどうかは、その行為がもたらした結果によってしか判断ができないということは確からしそうです。「その行為が自陣営あるいは敵陣営の利益につながったかどうかはゲーム後に判断し、それが利敵行為であるならば、それを行ってはならない」というルールは問題なく運用できるでしょうか。
 おそらく多くの人が予想したとおり、このルールには問題があります。先程あげた例のように、人狼ゲームにおいて、ある特定の行為が利敵行為であるかどうかを、基本的にゲーム中には判断できないからです。
 実のところ「利敵行為かどうかをゲーム後に判断する」というルール自体がこの問題点を前提にしています。ある特定の行為が利敵行為であるかどうかを進行中に判断できるのであれば、わざわざ裁定をゲーム後に行う必要がないからです。
 仮にこのルールが実装されてしまうと、参加者はその行為が利敵行為であるかどうか事前に判断できないため、確実に利敵行為にならない行動を選択することができず、ゲームが成立しません。*1

 このようにして整理すると、単純に辞書的な意味での利敵行為を禁止することは、人狼ゲームではかなり難しいようです。

続きはこちら
「利敵行為」って何?② - リサイクルショップ

*1:人狼は(他者の陣営がわからないという意味で)不完全情報ゲームであり、かつ(他者の行為による利得関係が明示的でないという意味で)不完備情報ゲームであると分類することができます。実のところ今回の記事は「人狼は不完全かつ不完備情報ゲームであるため、参加者は自身がゲーム内で取りうる行為が利敵行為であるかどうかを事前に判断できず、そのため利敵行為を行ってはならないというルールは成立しえない」の一文で済んでしまう話でした。 しかし「利敵行為」の意味するところを事前に整理する必要があると感じたためにこのように冗長な文章を書いています。ごめんなさい。

人狼のジャーゴン問題【後編】

前編では「初心者に対するジャーゴン問題」について考えてみました。

それって今まで散々誰かが語ってきたことじゃね?というツッコミはあるとして、

後編で話題にする人狼プレイヤー同士でのジャーゴン問題」の土台になる議論だと思ってもらえればと思います。

 

人狼プレイヤー同士でのジャーゴン問題」を一言で言い表すと以下のようになります。

「自分の知っている言葉を相手も同じように理解していると思い込んでしまうこと」

 

具体例を考えてみましょう。

 

Aさん「Cさんって白いよね」

Bさん「確かに白いけど狼っぽさもあるなー」

Aさん「え?白いって狼っぽくないって意味じゃないの?」

Bさん「白要素と非狼要素は別物でしょ」

 

あまり適切な具体例になっていない気もしますが、AさんとBさんは同じ言葉をやや異なるニュアンスで捉えており、そこからすれ違いが発生しています。

このような用語の解釈違いはいろんな村で見る気がします。

すり合わせが行われているならいいのですが、そうでないままエピローグを迎えるのも珍しくありません。

 

よくあることだし、そうやって相手を理解していくゲームじゃない?という指摘も一理あるのですが

そもそも人狼用語を使わなければ生まれないすれ違いだったんじゃない?

とも私は思うのです。

 

人狼用語を使わなければ先ほどの例は

Aさん「Cさんって狼っぽくないよね」

Bさん「村っぽい発言してると思うけど、狼っぽくないとは思わないな」

という会話になったはずです。

 

人狼プレイヤーは言葉を圧力鍋でコトコト煮込んでしまう習性があります。

たぶん、白とか黒って警察用語のシロ/クロから拝借されていて

もともと「疑わしくない」「疑わしい」くらいの意味しかもっていなかったと思います。

その言葉が「村人側っぽい」「発言がわかりやすい」「処理優先度が低い」みたいな風合いをもつにつれ、

「それ、初めからそう言ったほうが正確に伝わらない?」

と感じる場面が増えているような気がします。

 

前編で言及したとおり、ジャーゴンは議論をスピーディに行うのに有効です。

しかし、言語を圧縮しすぎると知らない人には何を言っているかわからないし、

知っている人でも解釈が異なれば無用なすれ違いを生んでしまいます。

 

「問題」と銘打った割に大したことない話になってしまいましたが、

「相手に理解してもらえること」

を前提にしようねという話なのでした。

 

 

ここからはあとがき的というか、本筋から逸れた話になるのですが、

人狼やってて「しんどい村」と「しんどくない村」ってありません?

たぶん村側か狼側かによっても異なるんでしょうけれど。

実態としてはともかく、参加者のほとんどが「相手に伝える気もないし、相手を理解する気もない」ように「見える」村って、どんな役でもしんどいと思うんですよね。

個人的欲求としては、勝利を目指すにしてもしんどくない村で遊びたいというのがあって

たぶんこの記事を書こうと思ったのもそれを目指したいからなんだろうなぁと思います。

 

しんどくない村を作りたいの会。

人狼のジャーゴン問題【前編】

久しぶりに記事を書きますが、特段面白い内容ではないです。

 

ジャーゴンとは専門用語とか職業用語を意味する言葉です。

スラングやタームも近い意味を持っていますが、それらに比べて「ちんぷんかんぷんな言葉」という皮肉的なニュアンスが強いように思います。

パルスのファルシのルシがパージでコクーンみたいな感じです。

知ってる人には伝わるけど、知らない人には突然悪魔召喚の詠唱を始めたと勘違いされる系のヤツです。

エロイムエッサイム我は求め訴えたり。

 

人狼は用語が多いゲームです。

CO、対抗、騙り、進行、縄といった言葉が飛び交い、またそれらを皆が理解している前提で議論は進んでいきます。

こういった用語は議論をスピーディーにするために用いられているようです。

 

「【非占霊】

 2-2把握。占は統一で白なら霊ロラ、斑なら吊ってライン見る」

 

人狼プレイヤーに対しては問題なく伝わる文章でしょうが、これをゲームシステムしか知らない人が分かるよう噛み砕くと以下のようになります。

 

「【私は占い師でも霊能者でもありません】

 占い師や霊能者だと宣言してる人がそれぞれ2人ずついるようだ。

占いの使い方だけど、2人で同じところを占うのがいいと思う。

彼が両方から人間だと言われたら2日間かけて霊能者をどちらも処刑したい。

逆に、どちらかから人狼であると言われた場合は占われた人を処刑したい。

それぞれの霊能者がどちらの占い師と同じ結果を言うのかを見たい。」

 

もっと簡潔にまとめられるかもしれませんが、先に挙げた例文にはこれくらいの情報量が詰まっています。

しかし、毎回毎回このような説明をしていたら議論に割きたい発言数や時間が削られてしまいます。

そのため人狼プレイヤーは言語を布団圧縮袋に詰める傾向にあるのでしょう。

全員に伝わるのであればそれで構わないと思います。

 

ただ、この傾向が二つの問題を発生させているように思います。

一つは「初心者に対するジャーゴン問題」、もう一つは人狼プレイヤー同士でのジャーゴン問題」です。

 

「初心者に対するジャーゴン問題」は先ほど取り上げた例が示しているようなものです。

最初の文章は用語を知っている人向けに書かれており、知らない人が発想力や洞察力だけを頼りに内容を正確に理解することは困難です。

よしんば意味を調べてから参戦した勤勉な初心者であったとしても、いちいち用語を頭の中で噛み砕かなくてはならないため、発言を読み解くことそのものに労力を伴ってしまいます。

 

ここは人狼ゲームの敷居の高さの一因となっているように思います。

初心者が誰でも歓迎村に飛び込んで

「なんでこいつら悪魔召喚バトルを繰り広げているんだ……?」

とか

「宇宙言語を読み解くのに精一杯。人狼ってこんなに難しいゲームなの……?」

みたいな感想を抱くのも無理からぬことではないでしょうか。

 

他方でこれらの原因となっているジャーゴンは、やはり先ほど述べたとおり必要だから用いられている側面もあります。

一概に結論を出すのは難しいですが、歩み寄るなら経験者の方からではないかとも思います。

ジヅンンザヅゲンググロンギゴビバデデギバギバズシバゲデデリスギュンバンパガデデロギギバロギセラゲン。自分の発言がグロンギ語になっていないか振り返ってみる瞬間はあってもいいかもしれません

長くなったので二つに分けます。